しばらく続いた沈黙の後で、


「…なぁ。」

「…え!」

「…んな、驚かなくても。」

「あ、うん。そ、だね。ごめんね。
あ、な、なに?」

「…ドア、閉めて。」

「え、」

「なに?」

「あ、いや。」

「気になるから。ドア閉めといて。」

「あ、…うん。」


立ち上がってドアを閉める。


この部屋に入った時、藤真君の匂いがした。

いや、変態ちっくだけども。

藤真君の近くにいれば気づく程度の僅かな匂いは、

すごく爽やかな、彼によく似合う匂いがした。


その匂いのする彼の部屋は、あたしの緊張をより強くさせた。

わざと開けていたドアを閉めた今、


あたしの頭の中も、胸の中も、

彼の事でいっぱいいっぱいになってしまった