付き合っている、とは言え形だけの付き合い。

完全なあたしの片想い。


好きな人の家に、部屋にいることが、

今から一緒の部屋で寝ようとしてることが、

今さらだけど、

なんてことをしようとしてるのか、

ひどく緊張させた。




「…。」

「…。」


藤真君は、ベッドに腰かけてスマホを触っていた。


あたしは、…えと、どうしよう。

この状況で呑気にスマホを触ることもできなくて、

だからといって藤真君のベッドの横に敷かれた布団に横になることもできなくて、


ただただドアの横の壁に背中をつけて下を向いて座っていた。