お風呂から上がれば、リビングで待ってくれていた藤真君がいた。


「あの、…お待たせ、しました。」

「…ん。なんか、飲む?」

「あ、うん。」

「なにがいい?」

「あ、えと、」

「こっち来て。選んで。」


キッチンの冷蔵庫の前に立って、あたしを呼ぶ。

ジュースを選んで、またリビングに戻り、

会話もなく、しばらくテレビを見ていた。
 


「あ、夢ちゃん。お布団敷いたから、いつでも寝れるからね。」

「あ、はい。お風呂も、ありがとうございます。」

「いいのよー。でも、その前に夢ちゃん、ちょっといい?」

「?あ、はい。」

「藤真、あんたは先上がってなさい。」

「…なに?」

「なんでもないわよ。」


用事を済ませた様子の藤真君のお母さんがリビングに入ってきて言った。