「なぁ、玲ん家の隣の部屋って永司の部屋だっけ」
「そうだね、あっちが明貴の部屋。中庭の向こう側」
「意外と近いのな」

玲の部屋は広いマンションの5階でベランダからは夕焼けが綺麗に見える。
10年前玲の部屋を出ていった明貴は何故か同じマンションの向かい側に住んでいる。
(いや、出てった意味ねぇじゃん。玲をどんだけ苦しめるんだよ)

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「なぁ、永司」
「んー?」

起きるとご飯が出来ていた。キッチンに智秋がいた。

「一緒に住みませんか?一緒に住んだらな?毎日ご飯作ったるで!」
「...眠気吹っ飛びましたよ?何を言い出すんだよ朝から」

完全に冗談だと思い、スルーしようと思っていたら怒られてしまった。

「ウチ、本気なんやけど?ずっと永司とおりたいし、一緒におらんと思い出作れんやん?やからさ!」
「ごめんって、俺も一緒にいたいよ。」
「じゃ..じゃあいいん?!」

そういった智秋の目は輝いていた。目には涙が浮かんでいた(気がした)。

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「玲、そろそろ仕事じゃない?」
「あ、ほんとだ」

〈ガチャ〉

「...涼?」
「智秋...!」

いないはずの涼と鉢合わせした。
(まぁ、付き合うんなら同居もするか、ウチらもだし...)

「あ、そっか隣 玲か」
「智秋こっち来てたんだ!あ、ごめん仕事遅れるから行ってくる!
永司、仕事は?」
「昨日終わらしといた」

硬直する私と涼をよそに玲と永司は高校の時みたいに言い合っていた。

「プッ...笑」

二人の言い合いを見ていると自然と笑っていた。

「なんか、懐かしいなこやってみんなで話すん。いつぶり?」
「高校以来だから、10年くらい前になるのかな」

永司との思い出も大切な事、だけど4人での思い出も大切な事なんだ。
あの時、上手く笑えてなかった玲も笑っていた。涼も永司も楽しげだった。
これから毎日こんな3人と過ごせるんだと思うと心がはずんだ。


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