「はぁ、なんで泣いてんだろな、俺。」
「...そんなにウチの事嫌やった?」

涼の気持ちを考えると何故か泣いていた。でも、これは智秋が望んだ結末で、
涼もそれを分かっていた。

「お前の事嫌なわけがないだろ」
「じゃあ、なんでため息ついてるん?ウチと付き合ったん後悔しとる?」

智秋は中学の頃からずっと涼の事が好きだった。
なのに社会人になって急に俺の事が好きだと言い始めた。
涼の事を思ってなのか、単に気持ちが変わったのか俺には全く分からなかった。

「後悔されとってもしゃーないよな。ウチ玲とかに比べたら全然かわいないし女子力とかもう知らへんし。
永司が何悩んどんかは分からへんけど、ウチが永司好きになったんはこんなウチの事ちゃんと女子として接してくれたけんやで?
涼はそーゆーのがほとんど無かったから、嬉しかったんよな
なんか照れるけどさ...うわ、また泣いた」
「お前でもそーゆーこと言えんだな...ありがとな智秋」

いつだってそうだ。智秋は俺の悩みをすぐに解決してくれる。
そんな智秋に惹かれていたのは事実で、涼を好きだと言っている間も
俺はずっと智秋の事が好きだったのかもしれない。
幼なじみで家も近くで幼稚園からずっと一緒でもっと早く思いを伝えて入れたのかもしれない。
でも、智秋は

「涼とかとの思い出もいいんやけどさ、ウチこれからは永司との思い出も増やしていきたい。」

過去を忘れようとしていた。

「ありがとうな、智秋。」

感謝する事しか出来ないけど、いつかはちゃんと恩返しできるように智秋を守っていこうと思った。


「なに、今日どしたん、変すぎん?」
「お前のせいだよ」
「ウチ何もしてないやんー!」
「うるせぇ、寝るぞ。おやすみ」
「おやすみ永司。(私は玲や涼みたいに一途じゃないし、尽くせない。でも永司が辛い時、苦しい時、悲しい時、そばでいられるだけで十分なんだ)」

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