「うっわ...雨降ってんじゃん」
「もう、最悪〜」

駅のホームを出るとそんなカップルの会話が聞こえてきた。
今から10年前もそんな会話をしていた気がした。
すこし寂しくなった。
(さ、早く帰ろ)
雨の中傘もささず歩いて家に向かった。


ドアの前で涼が座っていた。

「あー、玲だ。」
「ただいま。って何してんの」
「おかえりー。鍵渡してたよね」
「忘れた。家に。」

涼が家に来る時は会社で何かがあったか、智秋関係の時だ。

「また、智秋と何かあった?」
「別に何もないよ」
「何もなかったらこないでしょ?」
「...玲に会いたかっただけだよ(玲は忘れたんだろうな今日で明貴と別れて
10年目だってこと。今日と同じような日だったこと。)」
「そっか」

雨はいつからか雪に変わっていた

「寒いよね、中入っていいよ」
「ありがと、玲」