教室のドアを開ければ、そこにもまた、変わらない風景が広がっていて、今日も平和だと言っているかのように教室は賑やかだ。

「悠、馨、おはようっ!」
1人が挨拶すれば周りの皆も挨拶し始める。

「おー、桜木!達哉が泣きそうになってたぞ!」


「た、達哉がっ?!」

それを聞いて悠は教室を飛び出して行ってしまった。周りの皆はクスクス笑う。
まあ、そうだろうね。
こんなバカップルあんま見れるモンじゃないし。


達哉というのは悠の彼氏で中学の時からバカップルだった。そのバカップルさをいつも見守って来たのは、紛れもない馨だった。


「ただいまあ♪♪」
「ただいまあっ!」

バカップルが帰ってきた。皆は、笑いながら拍手を送る。
二人は照れ笑いして、お互いの気持ちを確かめるように見つめる。

はい、皆気にしない。
見ない。見れない。直視できないのだ。あまりにもバカすぎて。