「あの時から」
椋がガトーショコラをもぐもぐしながら口を開く。
「うん、」
ガトーショコラが椋の口に入ったことが嬉しくて、また泣きそうになる。
「俺は、杏果のこと、大好きだったよ」
ニカッと、教室では絶対に見せない笑顔で笑いながら恐ろしく破壊力のある言葉を放った。
「それは……」
「女の子としてね、ライクじゃなくてラブね。」
『ああもうまた頭の悪いことを……』
とブツブツいいながら頭を抱えてしまう。
そんな椋に笑がこぼれて。
「マカロンって本当は男性が女性にホワイトデーに渡すものなんだけど」
「うん」
「『特別な人へ』っていう意味がある、から」
「ねぇ」
「それにね、本当は中3からずっと、作ってたの」
「は?そんなの知らなかったんだけど」
と怪訝そうにする椋。
無理もない。
渡せてないのだから。