「でさ、そのあとさ」
「もーまじでやめて」
恥ずかしがる椋をよそに、そのあとのことを思い出す。
30分くらい経って、あった!と叫ぶ椋は全身びしょ濡れで立っていた。
またも泣きそうになる私に椋は、噴水の中で星形のヘアゴムを突き出しながら言ったんだ。
「俺が守ってやるから、笑ってろ。だろ」
「そうそれ!小4がいう言葉とは思えなかったよ」
大きくなった椋がリトル・椋に重なって見えた。
「マカロン、食べてもいい?」
「ガトーショコラの方が消費期限はやいかもよ?」
「じゃあガトーショコラ食べる」
単純な椋はあの頃のままご健在だ。