それが何秒、何分続いたのかわからない。
 息苦しい沈黙が続くなか、シンちゃんが「ごめんね」と手のひらを目に押し当てた。微かに肩が震えている。

 え、と弾かれたように顔を上げた私の目に映ったのは、シンちゃんの泣き顔だった。

「……なんで泣いてんの?」

 花瓶を小脇に抱えたままのシンちゃんは、溢れる涙を右手で拭い、首を横に振った。

「ちょっと……何で泣くの?」

「百合が喜んでくれるって思ったんだ。ごめん。でも百合が言う通りだと思う。ごめんなさい」