もしかしたら家族とケンカ別れとかしちゃったのかな? 本当は家族に会いたいんじゃないかな? と、お節介心から、ある時。
「シンちゃん、家族に会いたいんじゃないの? ずっと会ってないんでしょ。寂しいんじゃない?」と訊ねたことがあった。

 でもシンちゃんはプレステのコントローラーを握ったまま「別に」とキャラクターを忙しなく操作して、一息ついたところで煙草に手を伸ばした。

「俺、百合がいれば寂しくないよ」

「またそんなこと言ってる」

「だって本当だし」

 多分それが本音だったんだろう。
 家族との交流がなくても、私が隣にいればシンちゃんは寂しくない。
 一緒にいた5年、シンちゃんはいつも幸せそうに見えた。