アクセサリーアーティストなら山ほどいるだろうに、なぜ私に? と不思議に思ったが、たまたま、先輩と桐生さんが会った時に、私が作ったネックレスに目が留まったらしい。

 奇抜で斬新なのかは別として、素人のハンドメイドだからワンアンドオンリーであるのは間違いない。

 けれど、本当にこんなものでいいのか、と全く自信がなかった。
 謙遜ではなく、本当に自信がなくて最初は辞退させて欲しいと申し出た。
 けれど、桐生さんは「では一度先生に見てもらってから、ということでどうですか? 僕、お迎えにあがりますので」と引いてくれない。

 ひとまずこれまでに作ったアクセサリーの写真とサンプルを幾つか持参し、先生に品定めを受けるということで話がまとまった。

 結果は、「こういうの好き」

 たった一言で30もの注文を受けることになり、人生というのは何が起こるかわからないものだと、ぽかんとしてしまった。