注文を受けていたネックレスを職場の大滝先輩に渡したところ、先輩の友人の方から「ぜひ作って欲しい」と依頼された。

「これ、桐生さんの電話番号。デザインとか詳しいことがわからないから、直接本人とやり取りしてもらってもいい? 電話は何時でも大丈夫な人だから、百合ちゃんの都合がいいときにかけて。よろしくね」

 先輩から手渡されたメモ用紙には丸っこい数字が並んでいた。

 仕事を終えて帰宅するとシンちゃんはいなかった。
 部屋の電気は点けっぱなし、プレステの電源は切っているのにテレビの主電源はそのまま放置されていた。

 溜息をついてテレビを消した私は、テーブルの上のマグカップを台所に運んだ。

 昼間シンちゃんが食べたと思われるラーメンのカップがシンクの中に無造作に置かれている。
 なぜスープを流して、カップをゴミ箱に捨てる、小学生でも出来る簡単なことがシンちゃんは出来ないんだろう。