「このネックレス、もう少し値上げしたら? これ1200円って安すぎない? 2000円くらいもらっても全然いけそうじゃん」

「2000円も取れるわけないじゃん。素人なのに」

「けどプロが作ったみたいだよ」

 ペンチを持つ手を止めた私は顔を上げた。

「口出しする暇があるなら食器洗ってよ」

 シンクに山積みになった食器に顔を向けた。
 シンちゃんは、気まずそうに笑って「ごめんごめん。口出ししない。ゲームでもしよっかな」とプレステの電源をオンにした。

 8畳のワンルームにぱぱぱぱぱと乾いた銃声が轟く。
 よく飽きもせず、毎日毎日ゲームばっかり出来るもんだ。ゲームに全く興味がなかった私は何が楽しいのかわからない。

そんなことよりも、

―――ゲームにかかる電気代って幾らするんだろう。

 私はいつも電気代のことばかり考えていた。