「そこまでだ、美玲!」

ガチャッと部屋のドアが開く音と同時に、聞き覚えがある声が部屋に響いた。


「……ひ、じりさん?」

私の心の声が聞こえてたんじゃないかというくらいのタイミングで私の前に現れた救世主。

「紗凪、大丈夫か? 怪我はないか?」

すぐに私の元へと駆け寄って来て、手足の紐を解き始めた聖さん。張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れて視界が揺らぐ。

「こんな思いをさせてしまって本当にすまない」

解放された私の身体を聖さんがギュッと強く抱きしめた。密着した身体から伝わってくる聖さんの荒い息遣いとドクンドクンと高鳴った鼓動。聖さんがここまで慌てて必死に走ってきたんだと察しがついた。

そんな聖さんの優しさと強さにいつも包まれているんだということを改めて実感して胸が熱くなり、涙が頬を伝う。