「大勢の前で顔に泥を塗られる形になったお父様は激怒してこんな人を長男の嫁だとは認めない。紗凪さんを東條家から追い出して、きっと紗凪さんのご実家への融資もストップさせるでしょうね」

ゾッとするような美玲さんの笑顔が私を捉えて放さない。

「……美玲さん、お願いだからやめてください」

「嫌よ！　全部ぶち壊してやるんだから！」

「……美玲さん」

「悠斗お兄様から今、メッセージが入りました。そろそろ動画が流れる時間のようですよ？」

美玲さんがそう言ってテーブルの上に置いてあったパソコンの画面を私の方に向けた。そこには会場の現在の様子が映されている。

「紗凪さんちゃんと見てください。結末を一緒に見届けましょう？」

そんな美玲さんの言葉に思わずパソコンから目を背けた。絶体絶命のこの状況。手足の自由も効かないこの状態で私にできることは何もない。

……聖さん、助けて。

思わず、心がそんな悲鳴をあげた次の瞬間。