「凛道、食べるだけが楽しみではない。」
「獅子島さん。」
そう言って見せてくれたのは、大量の花火セット。
「夏の風物詩と言えば、花火だろう。打ち上げもいいが、自分の手元でする花火が一番だ。今年の花火は・・・どうなんだ?」
「まだしてなかったです!」
「ならば、子供らしく遊べばいい。水を入れたバケツと、軍手と、ライターとチャッカマンとマッチを用意してやった。暗くなったら火をつけるが良い。む・・・蚊が来ないように、蚊取り線香は早めにつけておくか。つるすタイプも設置しよう。蚊が来ないスプレーも用意したからかかけておけ。」
「さすが獅子島さんです!大人ですね!」
「フン!・・・皇助の分の打ち上げ花火もしていいからな・・・?」
「え!?それはさすがに、悪いで・・・!」
「用意した俺が良いというから、いいのだ。子供が遠慮するな。気にせんでいい。」
「って、いいわけねぇだろうぉ!!?」
ハラハラしながら言えば、後ろから体をつままれた。
「テメーの分の花火をやればいいだろうが、伊織!!り~ん、す~けぇ~!棒切れ振り回したくないかぁ~!?」
「百鬼さん!?」
そう言って見せてくれたのは、百鬼の顔よりも大きなすいか。
「すいか割しようぜ~!わはははははは!」
「あ・・・これも、今年はしてないですね・・・」
「わはははは!だよなー!海でする予定だったが、幽霊だ、のぞきだで、流れちまったからな!オメーは力が弱いから、強力な武器を用意したぜ!鉄パイプに、金属バットに、斧に、日本刀!」
「ホントに武器ですね!?割るどころか、粉砕されますよ!?」
「ちょっと、皇助!あんたスイカわりするなら、シートを敷いて、その上で割ってもらいなさいよ!」
「凛道の口に入るんだ。衛生面を考えろ。」
「タオルも用意してるよな?割った時に、凛たんに果実がかかったままじゃかわいそうだろう?」
「うるせぇーな、テメーら!過保護すぎんだよ!」
「オメーが大雑把なんだ!ほら、凛を下ろせ!」
つままれている私を、百鬼から奪い取る瑞希お兄ちゃん。
「まずは腹ごしらえだろう!?凛、肉食え、肉!」
「は、はい!」
抱っこされた状態で、至近距離で言われ、隠してる口元がにやけてしまう。