「脅しに来ただけだろう。もう大丈夫だ」
「・・・うん・・・」
なんとも釈然としない気分。
(おじさん、あのバイクの人のこと、知っていたのかな?)
もしそうなら、教えてもらえるチャンスだったかもしれない。
でも、それを望めば、私警察で事情聴取を受ける立場になる。
凛道蓮=菅原凛とバレてしまうことになる。
(バイクの人のこと、あきらめるしかないのか?いや、もしかしたら、また会えるかもしれない。それを信じて待ってみよう。)
「ほら凛、元気出せよ?」
そんな私を、瑞希お兄ちゃんが優しく抱き寄せてくれた。
ギュッとされ、頭をなでられる。
落ち着かせるためにしてくれてるんだとわかったので、私も自分から彼の方へとくっついた。
その一方で――――――
「かわいそうにな、チョコちゃん。」
「あんな言い方ないぜ!?」
「はなから、悪いって決めつけてるもんな!?」
立ち去った警察を怒る会長さん達。
「チョコちゃん、あの刑事共がなんか言って来たら、いつでもおじさんに言えよ?」
「会長さん・・・」
「おじさんは、おじさん達は・・・チョコちゃんの味方だからな?」
そう言うと私の頭を、わしゃわしゃと撫でる大人。
会長さんの言葉を聞きながら思う。
(『おじさん』じゃなくて、『おじいさん』じゃないのかな・・・?)
さりげなくサバを読む言い方をするご老体。
ツッコミを入れるべきか戸惑いつつも、その優しさに感謝した。
私の周りには、こんなにも優しい大人がいたのかと驚かされた夜店最後の夜だった。
~迷惑な訪問者!~完~