瑞希お兄ちゃんには悪いが、警察を脅す・・・圧力をかけることできそうだと思う。
そんなことを考えていたら言われた。
「お前の周りは、物騒な事件が多いな、坊や?」
意味ありげにおじさんに言われたが、瑞希お兄ちゃんが否定している以上、私もそれに合わせようと決める。
「・・・巻き込まれやすいみたいです。」
「だったら、今後も増えるだろうな。」
「不吉なことを言わないでくださいよ!?」
「MESSIAHの事件のどさくさにまぎれて、新しい仲間と集会してくれたみたいだな?」
「一応、暴走族なので・・・」
「バイクの男も知り合いか?」
「バイク?」
「お前が車にひかれそうになった時に、助けたバイク野郎のことだよ。」
(あの人のこと!?)
おじさん知り合いなんですか!?・・・と、言いそうになる。
「・・・なんのことです?道路に飛び出した覚えはないんですが?」
凛道蓮はMESSIAHの件に関わっていない。
いなかったことにしている場所での出来事を知ってるのはおかしい。
なので、知らないふりをする。
「知らないってことか?」
「知りません。」
ドキドキしながら伝えれば、ジッと私を見つめるおじさん。
私も負けじと、視線をそらさないように見つめる。
堂々と『漢』らしくする。
結果、先に動いたのはおじさんだった。
「・・・また来る。」
そう言うと、私に背を向けるおじさん。
「帰るぞ、岩倉!」
「ちょ、バラさん!?」
「町内の皆さんもお騒がせしました。またご協力をお願いします。」
棒読みで言うと、おじさんは行ってしまった。
岩倉が未練がましくこちらを何度も振り返ったけど、すぐに祭りの人込みの中に消えて行った。
「瑞希お兄ちゃん・・・」
「気にすんな、凛。」
脱力しながら名を呼べが、私の体を支えるように腰に腕を回してくれた。