「それで今夜の龍星軍の集会は、スムーズに行ったわけですか?」
「『半分』はそれだな。バラさんが動けないのもあるが、例のMESSIAHの件もあって、そっちに捜査員を大量に送ってるらしい。つまり、族の集会1つに構ってる暇はないそうだ。」
「そうだったんですか・・・」
「元々、バラさんが率先して龍星軍逮捕をかかげてたからな。それ以外の奴だと・・・やる気が出ないんだろう。」
「岩倉・・・君は、けっこう喰いついてましたよね?バラさんの影響でしょうか?」
「元がそういう性格なんじゃねぇーの?育ちもあるが、新入りにしちゃ自己主張も激しい。だからバラさんも周りも、坊ちゃんが暴走させないように見張ってる感じはするな。」
「大変ですね・・・」
「凛が言うなよ?」
しみじみ言えば、両手で思いっきり髪をかき回された。
「わわ!?ちょっと、お兄ちゃん!?」
「はっはっはっ!油断する凛が悪い!」
何気ない戯れにホッとする。
暴走族をするよりも、瑞希お兄ちゃんとこうしている方がずっといい。
「凛たん、瑞希、なにしてんだ?」
「早く来いよ、凛!」
気づけば、ガレージには私と瑞希お兄ちゃんだけになっていた。
呼びかけは、お店の方から聞こえてくる。
「凛ちゃん、みーちゃん、ご飯にしましょう~!」
「さっさとこい、ブラコン兄弟。」
「わはははは!食うぞ~!」
「はようこんと、凛の分まで食うてまうで~うはははは!」
「瑞希先輩の分は俺が守ります!」
「凛さんの分は俺が守る!」
「リンリン、寂しくなるからカモンカモン!」
「我が君にはいい部分を差し上げてっと・・・」
「おい、カンナの分から摂取するな!」
「凛が食うなら、あたしはかまわないけど。」
「そ、そりゃあないだろう、カンナー!?」
「ファイト、悠斗。」
「・・・・あいつら楽しそうんだな、凛?」
「そうですね、瑞希お兄ちゃん。」
聞えてきた会話に、どちらともなく笑みがこぼれる私達。
「凛たーん!みーずーきー!まーだぁー!?」
「は、はーい!ただ今!」
「うるせぇなぁ~今行くよ!」
仲間の問いかけに答えて、2人ならんでガレージから離れる。
さりげなく私の肩を抱いて歩いてくれる好きな人に、私も自然と体を預ける。
抱き寄せられて笑顔を向けられた時、私は幸せなんだと思った。