「ホント、信じられませんわ!」
「うちの子、声をかけられなくてよかったわ。」
「菅原さんのところは、お嬢さんが返したそうですわね?えらいですわ~」
「いえ、普段から食品成分の表示がない者は口にしてはいけないと言ってますので。」
「さすがですわね!そういう教育も大事だと、改めて思いましたわ。」
「警察は何をしてるのか・・・」
「でも、半グレでしたか?捕まってよかったわ。」
聞えてきた母親達の会話にうんざりする。
集まった塾生達は、検査を待ってる間にスマホやタプレットでつぶやいてる。
あるいは、問題集を開いてお勉強をしてる。
私も参考書を見るふりはしていたが・・・
「お母さん、トイレに入ってきていい?」
「ええ、行ってきなさい。」
その場の空気に耐えられなくて息抜きに走る。
(この調子なら、今夜も瑞希お兄ちゃんに会いに行けるかな?)
坂口さんのことがショックだと言って、部屋に閉じこもるって方法を取ればいい。
ヒドイって思われるかもしれないど・・・瑞希お兄ちゃんと過ごせないことの方が私にとっては問題なの。
なによりも―――――
(今夜あたりになるかもしれないし・・・・)
トイレの個室に入ったところで電源を入れる。隠し持っている凛道蓮の携帯をONにする。
LINEに新着があった。タッチして内容確認をする。
―凛、宿題終わったぞ(^_-)-☆―
―凛さん、全部終わらせました!―
―終了したよ、リンリン♪―
―ぼっしー、戦いは終わりましたヾ(≧▽≦)ノ―
―終わったぞ、凛道。―
―カンナ達と、宿題を終わらせた。―
―凛君、爆裂弾は全員宿題終わったから(´∀`)∩―
―もう集会行けるで((((oノ´3`)ノ―
「全員宿題終了か・・・」
瑞希お兄ちゃんに連絡する。
すぐに既読がつき、スタンプで返事が返ってきた。
―解禁☆―
「・・・かしこまりました。」
許可は下りた。
それだけ確認すると、携帯の電源を落とした。