(しかたない・・・胸と股間にだけ気をつけながら、任せよう・・・)



強く拒めば断れたかもしれないけど、長時間の拘束で反撃する気もなくなっていた。

注意しつつ、なすがままになる。

そんな私に、喜々としながらモニカちゃんは言う。



「あん!凛ちゃん、腰細い!ちゃんと食べてるぅ~?」

「だ、大丈夫、食べてますよ・・・」

「ホントー?モニカちゃん的には、もっと太らせたいわぁ~お腹のこの辺とかぁ~♪」

「ひゃ!?ちょ、モニカちゃん!?」

「やめろ、モニカ!ベタベタするな。」

「いいでしょ!着付けのできない、れーちゃんは、机の上の小物をとってよ~」

「へいへい!その代わり、凛たんへのセクハラを軽減しろよ!」

「はいはい!出来ない人は、出来ない人なりに、協力してねー?」

「では、浴衣も着物も着付けが出来る俺の配置はどうする?」

「あん!さすがイオリン、出来る男~!じゃあ、クローゼット前に積んでる三番目の箱、そこに下駄入ってるから出して!凛ちゃんのために~」

「ふん!しかたない。」

「わははは!そんじゃあ俺様は~」

「「「なにもするな。」」」

「な!?」

「全員一致で同じ指示ですか!?」

「どういう意味だテメーら!」



私の疑問と百鬼の問いに、モニカちゃんがムスッとした顔で答える。



「皇助にさせると浴衣も帯も巾着もズタボロになるでしょう!?だから全員一致なのよぉ~ん、凛ちゃん♪」

「そうなんですか!?」

「俺が知ってるだけで、浴衣を15着ダメにしてる。」

「俺は21着だ。」

「端切れになったけど、再利用したわ!この小物も、その一つよん♪」

「これはリサイクル品でしたか!?」



(どれだけダメにしたのよ!?)



思わず肩をすくめれば、モニカちゃんが私の襟首を正しながら言う。



「ダメよ、凛ちゃん!じっとしててね!」

「あ・・・はい・・・」

「あとね、シルキロールはこっちの和風の柄と交換して!付け替えなさい。」

「は、はい。」

「髪もいじりたいから~ちょっと座ってくれる?」

「わかりました。」



そこからが早かった。

テキパキとモニカちゃんが私の浴衣を整えていった。



「出来たぁ~!どう!?」

「わあ・・・すごい・・・」



得意げに言うモニカちゃんに、鏡の前に押し出される。

そこに映っていたのは、ポップで可愛いけど男の子だとわかる和装の自分だった。