「とりあえず、あの建物まで行ってみて、ダメそうなら移動しましょう。」
「え!?あの建物がなにか、ご存じじゃないんですか?」
「うっ・・・うん。あまりこっちにはこないもの。」
「そうでしたか・・・。あれ?ですが・・・・今の話に出てきた施設とは、全部違うっぽいですよ?」
「え?」
目に映った文字を相手に伝える。
「ホテルってありますから。」
「ホテル?」
ネオンで光る英語文字を読み上げれば、復唱する相手。
確かめるようにじっと文字を見つめるミクお姉さん。
「ホテルって・・・げっ!!?」
途端に、キレイな瑞希お兄ちゃんの顔が固まる。
当てが外れたんだろうと思ったのでフォローした。
「残念でしたね。旅行の人が泊まるホテルみたいですよ?」
「はあ!?え!?おま、あれは!いや、あの・・・」
「どうします?一番無難な、カラオケボックスを探しますか?」
「え!?えーと・・・うーん・・・」
「雨が激しくなってきたのと、バイクの残量が心配ですが、ここって繁華街でしょう?すぐに見つかりますよね?」
「い、いや!それは・・・そうだよ、ここって、あの・・・!あーうーその、な・・・」
言葉を濁すと、急に辺りをキョロキョロと見回すミクお姉さん。
(私の言い方が、よくなかったかな・・・・?)
失敗したかもしれない問い思いながら、相手の動きにつられて周りに目をやって気づく。
「なんだか・・・・この周辺はホテルばっかりですね?カラオケボックス、なさそう・・・」
「ば、ばか!見るんじゃありません!!」
「わっ!?」
そう言うなり、私の視界を塞ぐお姉さん。
「ジロジロ見なくていいの!いらっしゃい!」
「わあ~!前が見えないですぅー!」
「チョコチョコしない!!いいから、来るのよ!」
「ミクお姉さん!?」
「あーくそ、蓮君を信じて腹くくった!わかったわね硬派!?」
焦るように言いながら、私の体を抱える瑞希お兄ちゃん。
そして、ホテルの入口へと入ったのだった。
〔★潜伏先が決定した★〕