ババ抜きから始まったゲームは、大富豪へと変わっていた。



「革命!」

「マジかよ、蓮?」

「蓮君、やっと勝てそうだね?」



カードの強さを変えた時、私すっかり女の子達と打ち解けていた。



「蓮、これが終わったら俺達と花札しようぜ。」

「僕、ルールわからないですよ?」

「俺が教えるよ。」

「蓮なら、すぐに覚えられるさ。」



途中から合流した男の子とも、普通に話せるようになっていた。

表情がなかった子達が、笑うようになっていた。

それは良いことだったけど・・・



「蓮、リスカしてんのか?」



中には、馴れ馴れしい子もいた。

ペイントされた手を見ながら言うのは監視役のちあき。



「な、なんでもないよ。」



あくまで描かれているだけなので、じっくり見たり触られたりすると困る。

隠すように手をひっこめれば、違う手が触ってきた。



「私と同じだ・・・・。」

「え?」



一緒にゲームをしていた茶髪の女の子だった。



「ほら。」

「あ・・・!」



手首のリストバンドをずらしながら見せる。

無数に入った横線の切り傷を。



〔★本物が現れた★〕



薄皮もはってない生傷は痛々しい。



「い・・・」



痛そう。

見ているだけで痛い。



「やめられないの。」



真顔で言う姿に真剣に困る。

なんと言っていいかわからず、落書きをしてるだけの手を見せたくなかったので言った。



「難しい・・・ですよね。」

「あなたはどれぐらいするの?」

「今は・・・ほとんどしてない。」

「どうすればいい?」

「お医者さんに相談はしたんですか?」

「無理。あんたも、同じこと言うんだね。」



そう言いながら私の手をにぎる。

バレないか冷や冷やする。



「あの・・・リスカすると痛くないんですか?」

「なにも感じない。」

「どうして・・・切ってしまうの?」

「安心するから。でも、したくない。やめられないの。」

「そう・・・。」



矛盾してるけど、自分の体を切り刻むって怖いよ。

放っておけなかったので、少し考えてから言った。