「可愛いわぁ~私が大人にして、ア・ゲ・ル!!」
(はあぁぁあ!?)
甲高い声がしたかと思うと、相撲取りみたいな女がドカドカやってくる。
見た目も態度も肉食系という感じの女。
「5番の坊や、いただきよ~!」
(渡せねぇ・・・!!)
舌なめずりする女を見て、俺のヤンキー魂に火がつく。
〔★瑞希にスイッチが入った★〕
「では、お好きな番号の子を選んでくださーい!」
ざわざわしていた客達が、いっせいにボードに駆け込む。
「初物は俺が・・・」
「俺が調教する!!」
「どいて!」
「5番だ!」
「あたしの5番ちゃんよぉ~!」
ドスドスドス!
「「「「ぐわぁあああああ!?」」」」
群がる男達をなぎ倒し、張り手で追い払う巨漢の女。
「5番ちゃんは私のよー!」
突進する女にみんな弾き飛ばされていく。
「ぶほほほほ!もらったぁ~!」
「――――――――私がねっ!!」
バシュ!
がら空きだったデブの背後から、軽く飛び上がって手を伸ばす。
奴を押しつぶすように身を乗り出し、巨漢女が触れる前にカードを奪い取った。
「よっと♪」
「ぎゃん!?」
上手に着地する俺と、尻もちをつくデブ。
足元で這いつくばる女を無視して、カードをていいんに見せる。
「はい、どうぞ。5番指名は私でよろしくね?」
「ちょ、ちょっと!その女割り込みよ!?」
床に座り転がったデブが文句を言う。
「あたしは常連よ!人を押しのけてまで、奪い取るなんて!スケベよ!ビッチよ!ヤリマンよ!やり直しでしょ!?」
(それ全部、オメーのことだろう。)
俺は、張り手で押しのけてねぇっての!
そう言いたかったけど、
「あん、こわぁ~い!」
我慢して女らしく振舞う。
凛を守るため、俺はモニカの真似をする。
「わざとじゃないですぅ~興奮しただけですぅ~」
店員野郎の胸に体を預けながら言う。
「わかってくれますよねぇ?」
体をくねらせながら黒服のポケットに、福沢諭吉を1名、ねじ込む。
色仕掛けの自信がなかったので、こちらが本命ともいえるわいろ作戦。
これに相手は、ニヤニヤしながら俺の手を取る。
「も、もちろんですよ。じゃあ、5番の子は美人のお客様がご指名ということで。」
「ありがとぅ~♪」
「きー!なによそれ!?」
(さすがだぜ、諭吉!)
金の力は違うな。
店員が味方になったこともあり、もめることなく凛を指名できた。
〔★お金の力だけではない★〕