「なぁ、あのマスクの子、可愛くないか?」
「ああ、小動物系だよなぁ~可愛がりたい!」
「顔が半分しか見えないけど、仕草が可愛いよな?」
「中学生ぐらいか?お兄ちゃんと呼ばせて~!」
呼ぶな!
触るな!
可愛がるな!
そうしていいのは俺だけだっ!!
周りの反応にイラッとする。
どいつもこいつも、凛を見ていることにムカついた。
〔★凛は人気だった★〕
「なぁ、見ろよ・・・!あの美人のお姉さんの食い入るような視線・・・!」
「マスクの小動物ちゃんを見つめてるけど、買う気なのかな?」
「俺があの姉さんを買いたいぜ。」
「わかる!足きれいだし、良いにおいがここまでするし、声かけてみようかなぁ~」
「あの~良かったお茶しませんか?」
「お姉さんの良い値を出しますから、デートしましょうよ~」
「すごく良いホテルを知ってるんで、ご一緒に~」
「いかねぇよ、馬鹿!話しかけんな色ボケ共!!あっち行け!」
(なんなんだ、こいつら!?急に俺にからんできやがって!?)
凛を見守るのを邪魔され、ますます頭にきた。
〔★瑞希も人気だった★〕
群がってくる男達を追い払っていれば、受付にいた店員がマイク越しに言った。
「みなさん、お待たせしました!ただ今から入札を行います」
(やべ!)
壁にかかったボードに番号と名前が書かれたカードが貼られていく。
この店では、そのカードを受付に出して、相手とのデート交渉をする仕組みになっていた。
(り、凛は何番だ!?)
早く取らないと、他の奴に凛を取られてしまう!
「おい、新顔の子は何番だ!?」
「5番だ、5番!」
目で見る前に、耳に届く凛の番号。
周りの様子からして、ほとんどの奴が凛狙いだった。
(どんだけ人気なんだよ、凛の奴!?)
「本日はニューフェイス、5番のプリティボーイが入荷しました~」
その上、店員が凛の紹介をするからたまらない。
「え?新しい子入ったのか?」
「男って、あの子が?いいじゃん、好みだわ!」
「俺、ストライクゾーンだ。5番にしようかな?」
おかげで、凛に気づいていなかった奴まで興味をしめす。
(やめろ!凛を宣伝するな!)
〔★それが奴らの商売だ★〕