凛は大丈夫だろうか?
慣れないヒールで歩きながら考えるのは、可愛い弟のこと。
俺、真田瑞希は、女として会員制の出会い喫茶に潜入中だった。
身分証はもちろん、完璧に偽装したフェイク物。
鈴音ミクの姿で凛と恋人を演じた日、冷やかしてきた男達がくれた名刺。
渡された連絡先をもとに、ここまでたどりついた。
この店はマジックミラーの部屋の中にいる子を、客が自由に選べる仕組みになっていた。
「おい、今夜は来てるぞ!あのお姉ちゃん!」
「あの腰のくびれがたまらないなぁ・・・!」
「俺も、あんな美女に買ってほしい~」
あきらかに、俺を見ながらヒソヒソする常連客に嫌気がさす。
(やっぱり俺、目立つ服装じゃないか・・・?)
本日、モニカがコーディネートしてくれたのは服は、カッコいい女子がテーマらしい。
今回はデニムのミニズボンだが、前回よりも太ももが丸見えな上に、黒いレースのガーターをはかされた。
上は肩空きカットソーで、首元はのど仏を隠すために襟付きのミニネクタイを付けている。
胸は控えめにしてもらい、靴も低めのヒールにしてもらった。
録音機能をつけた腕時計をつけ、首の身にネクタイには隠しカメラを仕込んである。
伊織の調査と烈司の感で、悪人共を大掃除するなら今夜だと決まったのでいつでも準備OKだ。
〔★みんな(!?)の気合が入ってる★〕
「おい、今日は新しい男の子が入荷したみたいだぜ?」
「マジか!?久々だな。」
「男の娘をしてもらうのもいいなぁ~」
聞えてきた会話に吐き気がした。
ここにくる客は当然、未成年のしかいないとわかって来ている。
金でもみ消せる奴らが集まっている。
少女ばかりが目立っているが、少年だっている。
可愛い少年を捕まえることが出来た時だけ、店に出しているらしいと伊織は言っていた。
客共もそれを知ってる。
少年でも、少女でも、どっちでもいいってやつもいる。
(だから、凛をオトリにしたくなかったんだよな・・・)
大体オトリって・・・凛が買う側になれるわけないだろう?
そうなると、買われる側として潜り込むしかない。
そんなこと、凛にさせられるか!
あんな可愛く素直な子を、性的被害にあわせてたまるか!
(世界が敵に回っても、お兄ちゃんは許さんぞ!!)
〔★瑞希の兄バカモードが発動した★〕