たまった文句がたれ流される中、私の側で丸山さんが低くつぶやく。
「そういうわけだから、あいつらが行く場所には近づかないようにしてるんだよ。」
「そうですか・・・奴らがいる場所には近づか・・・?」
そこでハッとする。
(わかっているから、近づかない・・・・!?)
「それって、奴らがいる場所を把握してるってことですよね?」
「え?そうだが・・・?」
「あの!でしたら、僕にその場所を全部、教えてもらえませんか!?わかる範囲でいいですので!」
「おい、チョコ!どういうつもりだ!?」
ギョッとする丸山さん達に訴えた。
「聞いてください、丸山さん!みなさんも!僕が探している家出少女は、奴らのところにいる可能性があるんです!」
「つまり・・・薬漬けにされて、売春させられてるってことか?」
「そこまでご存じなんですか!?」
「目立つ連中だからな。」
「でしたら話が早いです!奴らを警察に突き出すためにも、協力して頂けませんか!?」
「警察って・・・おまわりさんも捕まえられない奴らなんだぞ?チョコは知らないかもしれないがー」
「卑怯な客が味方してるからですよね!?」
「そこまで知ってるのか!?」
「調べてますから!あの、3回しか会ってない丸山さんに、こんなことを頼むのも図々しいと思いますが――――――!」
「な、なんだ?」
「お願いします!僕を助けて下さい!」
「助けるっ!?」
「MESSIAHを御用にするため、力を貸してください!もちろん、タダとは言いません!出来る範囲でお礼をします!お金は貯金が少ないので、満足のいく金額は難しいですが、ご飯とか、コーヒーとかなら、ご馳走します!」
「現物支給かよ。」
「学生なもので!」
私の訴えに、ハーとため息を吐く丸山さん。
その返事は意外と早かった。
「・・・わかった。俺は、お前に助けられた恩があるからな・・・・。」
「いいんですか!?」
「1人で徘徊されたら困る。」
「ありがとうござます、丸山さん!」
ガシッと手をにぎれば、今度は振り払われなかった。
逆に握りかええされ、安心からホッとした。