「みさきさん。」

「なに・・・?」

「なずなちゃんの画像、僕にいただけませんか?」

「え?」

「僕、なずなやんのこと、知り合いに聞いてみます。」

「本当?」

「そりゃあ、いい!うちのチョコちゃんは友達が多いからな!」

「いえ、そんなに多いわけでは。つてがあると言いますか~」

「是非、お願いします!私も、ここが地元じゃないから、正直困ってたの!大原のおじいさんとは、うちのおじいちゃんが友達で、それでなんとか探せてるけど・・・!」

「やっぱり、若い知り合いがいた方が良いな!頼むぜ、チョコちゃん?」

「わかりました。」

「ありがとう!ありがとう、チョコちゃん・・・!」



何度も頭を下げるお姉さんに胸が痛む。



「おーい、みさきちゃん!そろそろ行くかい?」

「あ、はい。」



そこへ、お姉さんを呼ぶ声がした。

呼んだのは、見回りパトロールをしている人達。

それを見て会長さんが言った。



「みさきちゃん、画像は俺がチョコちゃんに送っておくから。行っておいで。」

「すみません、大原のおじいさん・・・。」



そう言うと、手にしていたドリンクを一気に吸うお姉さん。

のどが渇いていたのか、急いでいるのか、あっという間に氷だけになるカップ。



「じゃあ、行ってきます。チャコ君、どうか妹のことをよろしく。協力してくれてありがとう。バイバイ。」

「バイバイ、みさきお姉さん。」



手をふる相手に振り返す。

私に別れを告げると、彼女は夜回りの方々と行ってしまった。

その後ろ姿を見ながら会長さんは言う。



「ああやって、みんなでなずなちゃん探しを手伝ってるんだ。みさきちゃん1人じゃ、身体壊しちまうからな。」

「妹さんの携帯には、連絡したんですよね?」

「電源が入ってないみたいなんだ。おかげで、せっかくのGPS機能も無意味だよ。」

「無事に見つかればいいですね・・・」



妹を探すお姉さんの後ろ姿は、とても寂しそうだった。