「みさきちゃん、今夜はもう休んだらどうだ?無理は良くないぞ?」
「いいえ、これだけ人が集まってるからこそ、探しがいがあるんです。あの子を見つけるまでは・・・」
「え?どなたか、迷子ですか?」
私の問いに、笑顔だったお姉さんの表情が変わる。
「うん・・・そうね。私の妹が迷子なの。」
「え!?大丈夫ですか!?アナウンスはしてもらったんですか!?」
「それは・・・・」
「遠慮しないで、会長さんにお願いした方が良いですよ!警察に連絡しましたか!?」
「警察には・・・連絡したわ。」
「じゃあ、大丈夫ですね!僕も探しますよ!妹さん、おいくつですか!?」
「14よ。」
「え!?中学生?」
(私より年下!?)
「そう・・・迷子になってのは、14歳の私の妹。人生も迷子になってる子なのよ・・・。」
「・・・人生も迷子??」
「迷子というか、家出だ。」
「会長さん。」
説明してくれたのは、元気なおじいさん。
「みさきちゃんが探してる妹のなずなちゃんは、2週間前から家に帰ってないんだよ。」
「2週間も!?」
「みさきちゃんの家は、地方でね。なずなちゃん、ここまで家出してきたらしいんだ。祭りの夜は、家出中の子供が結構うろつくから、みさきちゃんを誘ってさっきまで探してたんだが・・・。」
「・・・見つからないんですか?」
私の問いに、悲しそうにうなずくみさきお姉さん。
(だから、浮かない表情をしてたんだ・・・)
私は兄弟いないからわからないけど・・・・
“凛、また携帯の電源切ってただろう?あんまりつながらないと、お兄ちゃんは心配だぞ!?”
(前言撤回!!)
もし、瑞希お兄ちゃんと、急に連絡が取れなくなったら大騒ぎだわ!!
私の前からいなくなったら、それこそ命にかかわる!!
生きていけない!!
「耐えられなーい!!」
〔★凛は痛みを理解した★〕