「なぜ、『司法書士』だったんですか?『弁護士』の方がよかったんじゃないですか?」
私の問いに彼は息を吐きながら言った。
「司法書士の方が、会社の業務関係でのあら探しを上手にしてくれる。違法な取引を見つけるのが得意なんだ。特に闇金など、叩けばホコリがよく出るからな。」
「そうなんですか!?勉強になります。」
「わかればいい。」
そう言った相手の手が私の頭に置かれる。
ブロロロロロン!ブローン!
大好きなエンジン音がした。
気づいた時には、見慣れたバイクが目の前で止まっていた。
私の頭から獅子島さんの手が離れた。
「あ!瑞希お兄ちゃんだぁ~!お帰りなさーい♪」
「ただいま、凛。・・・何かあったのか?」
「えーと、子供パトロール的なことがありまして・・・」
「はあ?今日のパトロールは終わったんじゃねぇのか?」
「言われてみれば、そうですね・・・?」
「ふん!時間外で、ボランティアをしたということだ!」
「獅子島さん。」
「瑞希、さっさと開店準備をしろ。手伝ってやる。」
「お、おう。」
冷たく言うと、さっさとお店に入っていく。
「凛、伊織のやつ、良いことでもあったのか?」
「なぜです?」
「いや、機嫌がいい気がして。」
「そうなんですか?」
「なにがあった?」
「さあ・・・わかりません。」
(トラブルはあったけど、喜ぶような良いことってあったかな?)
首をかしげる私に、瑞希お兄ちゃんはそれ以上聞いてこなかった。
その後、連帯保証人になった息子さんは助かったと会長さんから連絡が来た。
しかも、借金をして逃げた奴を獅子島さんが見つけてくれて、締め上げてくれたおかげで、返済はなんとかなるらしい。
ちなみに、獅子島さんが紹介してくれた司法書士さんは予約待ちの有名な先生だった。
それを聞いて、獅子島さんにお礼を言ったけど、「凛道に礼を言われる筋合いはない。」と言われちゃった。
お兄ちゃんが言うには、照れてるらしいけど・・・
とりあえず、いろんな人脈がある獅子島さんはすごいと思った。
〔★凛の伊織への好感度が上がった★〕
~毒をもって毒を制す!龍星軍流の悪人退治!!~完~