「これは・・・」

「彼の借金は、こちらの司法書士の方が引き受けるということになりました。」

「チッ!誰の入れ知恵だ、小僧?」

「入れ知恵も何も、金融会社の業務を調べてくれるので、仕事もしやすいからと・・・」

「帰るぞ。」



私の説明をさえぎると、ため息交じりに怖いおじさんが言う。



「川原を離してやれ。」

「え!?いいんですか、社長!?」

「このガキが出てきた店は、フェリチータだろう?思い出したんだよ、伝説のヤンキーを・・・」

「げ!?まさかここが・・・?」

「悪のゴレンジャーの!?」

「おい、このマスクしてるガキはもしかして・・・」

「似てるぞ!間違いないんじゃ・・・!?」



小声でヒソヒソしながら私を見る闇金の男達。

名刺を受け取った人が、囚われの息子に言った。



「運が良いな、兄ちゃん?司法書士の先生を連れて事務所に来い。」

「か、帰して、俺、家に帰して、もらえるんですか!」

「さっさと行け!次からは、逃げんなよ!?」

「は、はい!!」



吐き捨てるように言うと、車に乗り込んで行く闇金の人達。

高級車はそのまま、私達の前から走り去った。



「助かった・・・」

「たかし、大丈夫!?」



座り込む息子に母親が駆け寄る。



「母ちゃん!」

「よかった!ダメもとで、相談してよかった!」

「みたいですね?」



抱き合う親子に私が返事すれば、息子は私を見上げながら言った。



「あ、ありがとう、坊や!いや、ありがとうございました!」

「いえいえ。お気になさらず。」

「本当にありがとう!息子を助けてくれて、ありがとうございます!」

「僕らが出来るのはここまでです。問題解決のための、スタート来に立ったまでです。もう連帯保証人にはならないでくださいね。」

「もちろんです!ほ、ほんとうにありがとう!」



そのまま、何度も頭を下げながら親子は帰って行った。



「ボランティアも考えものだな。」

「獅子島さん!」



いつの間にか、私の隣に眼鏡の先輩が立っていた。



「すごいですよ、獅子島さん!おかげ様で、あっという間に解決です!」

「朝飯前だ。」

「獅子島さんなら、そうですよね~!あ、そういえば・・・」



感想を言ったところで、疑問に思ったことを聞いた。