「なんで闇金さんまで一緒なんです!?」

「連れていかれる時に、私が言ったんです!『なんとかできる』って!そしたら、一緒について来るって言って!」

「獅子島さん・・・」

「・・・仕方あるまい。」



うんざりした顔で、開いていた本のページを閉じると獅子島さんは言った。



「凛道、車の中で騒いでるバカ息子の携帯を借りて来い。」

「え?」

「早くしろ。」

「はい・・・?」



母親を獅子島さんに任せて外に出る。

トコトコ歩いていき、車の後部座席をノックする。

コンコンと優しく叩けば、ゆっくりと窓が開く。



「なんだ?」

「助けてー!」



窓からは怖い顔のおじさんと、半泣きのお兄さんが顔を出す。



「あのー大変申し訳ないのですが、連帯保証人になった息子さん、川原たかしさんの携帯を僕に貸してくれませんか?」

「え!?坊やが、助けてくれる?」

「黙ってろ!」

「ひっ!?」



お兄さんを黙らせると、怖いおじさんが言った。



「なんだ、お前は?」

「子供パトロールです。」

「ぶっふ!!?だ、誰がギャグを言えと言った!?」

「本気です」



〔★冗談ではない★〕



私の言葉に、車の中の大人達が笑う。

私が何者か聞いてきた怖いおじさんも、数回せき込んだ後で呼吸を整える。

そして周りが笑う中、元の表情に戻りながら言った。



「子供パトロールが何のようだ?」

「ですから、連帯保証人になった息子さんの携帯借りに来たんです。」

「消えろ。」

「携帯を壊したりしません。あなた方にも、悪いようにしません。僕が、約束を守れない人間に見えますか?」

「・・・ふん。」



怖いおじさんは目だけで私を見る。

そして、1つの携帯電話を私に差し出した。



「これが、バカ息子のスマホだ。」

「ありがとうございます。ちょっと待っててくださいね?」



お礼を言って受け取り、車から離れる。

お店の中に駆け込み、母親をなだめている先輩に差し出した。