「似合いますね、烈司さん!」



和服への感想を求められたので、感じたままに返事する。



「他の皆さんも・・・・あ、獅子島さん、今日はサングラスですね?どうしたんですか?」

「フン!お前達と人が集まる場所に行くのは目立つからな。化ける必要がある。よって今夜、俺だとばれた場合の釈明は、『家庭教師をしている凛君に頼まれてついてきた』という設定にしている。わかってるな、凛道?」

「わ、わかりました。」

「言うことはそれだけか?俺が言わんと、気の利いたセリフの1つも言えんのか・・・!?」

「ひっ!?す、すみません!今日はいつも以上に男ぶりが上がってます!とても素敵です!」

「フン!媚びばかり覚えおって・・・」



着流しを身にまとい、扇子で仰ぎながら言うのは、サングラスをかけた獅子島さん。

普段はメガネをかけている、クールで知的な美形東大生。

怒らせない限り普通ですが、これでもモニカちゃん達と同じ、龍星軍の元ヤンで副総長をしていた怖い人です。



「わはははは!素直じゃねぇーな伊織!嬉しいくせによぉ~!?」

「あ、百鬼さんは・・・甚平ですか?」



ツンとしてる獅子島さんを見ながら笑うのは、百鬼皇助。



「わはははは!着流しだと、帯なくすからな!!」

「そ、そうですか・・・」



百鬼からの豪快な返事に、普通はなくさないけど・・・と思わずにはいられない。

他の人達はともかく、百鬼は・・・だれが見てもわかる元ヤン様。

暴走族時代も今も、『野獣』呼ばれて恐れられる龍星軍初代特攻隊長です。(今も、野獣で通ってるけどね・・・)

型破りすぎて、理解するのに時間がかかりそうな人であります。

そんな屈強な男達が部屋に入ったところで、私につきっきりのモニカちゃんが顔をしかめた。



「ちょっとあんた達、可愛い凛ちゃんの着替えをのぞくんじゃないわよ!」

「わははは!オメーらが遅いから来てやったんだよ!」

「正確には、モニカの準備がだろう?」

「モニカお前、手に持ってるやつ、全部凛たんに着せる気か?」

「あっちもよ!」



そう言ってモニカちゃんが指さした先には、大量の衣装が重なっていた。