「家の・・・アパートの前で後ろから抱き付かれたの。」

「大丈夫でしたか!?」

「うん・・・大声で叫んで、暴れたら逃げて行ったわ。すぐに警察を呼んだけど・・・」

「よかったです!犯人の特徴は?」

「それが・・・・」



私の問いに被害者女性の顔が曇る。



「後ろからだったから・・・私より背は高かったと思うけど・・・。ごめんね、暗かったからそれぐらいしかわからない・・・」

「あ、気にしないでください。背後から襲撃されたのなら仕方ないですよ!ねぇ、お兄ちゃん?」

「そうだな。背後は仕方ないな。一般人だしな。」

「普通OLを背後から襲ったんだからな。無事でよかったぜ!」

「そう言ってもらえて、少し気が晴れます。」



悲しそうな笑みを浮かべながらお姉さんは言った。



「警察だと、『犯人の顔も見てないの?相手が離れた時に見れなかった?』って言われて・・・」

「え!?言い方にとげがありませんか!?」

「婦警さんがいなかったからね・・・顔を抑えて逃げていくのは見たけど・・・」

「悪いことをする時は、だいたい顔を隠しますからね。」



(私がそうだもん)



〔★凛道蓮がそうだ★〕



「結局昨日も、またパトロールを強化するとだけ言われたわ。」

「・・・今日、仕事に行かれたんですよね?辛くなかったですか?」

「大事な取引先との面談があったから。大丈夫よ。」



それを聞いてお姉さんを元気づけたくなった。



「わかりました!僕が責任もってお家までお送りします!」

「ありがとう、坊や。」

「そのことなんすけど!」



話を聞いていた瑞希お兄ちゃんが言った。



「ちょっと提案があるんすけどいいすか?」

「「提案?」」

「どうする気だ、サナちゃん?」



瑞希お兄ちゃんに聞き返した時、彼は意地悪く笑った。