「そういうわけで、今から駅まで被害者の1人を迎えに行く。」

「お迎えですか?」

「毎回じゃないが、遅くなる日だけ、な?」

「親切ですね。」

「毎日じゃないからできるんだけどな~!」



苦笑いする大人に好感を覚える。

そのまま駅まで歩き、待ち合わせをしている場所で相手と落ち合った。

いたのは、今年就職したばかりの初々しい社会人だった。



「ということで、チョコちゃんとサナちゃんだ。」

「こんばんは。はじめまして。」

「ちわっす。」

「こんばんは。ごめんね、こんな坊やまで巻き込んで・・・。」



可愛いのはもちろんだけど、気の優しそうな人。



「いいえ、人として当然のことをしてるまでです。」

「・・・本当にごめんね。そうだ。グミがあったから召し上がれ。」

「わーい、ありがとうございます!」

「すみません、気を遣わせて。」

「いいんですよ。可愛い弟さんですね。」

「お姉さんの方が可愛いです!」

「まぁ、ありがとう。でも、あなたのお姉ちゃんには負けるかな?」

「お姉ちゃん?」

「愛子ちゃん、こいつは男だ。」

「どーも、お兄ちゃんっす・・・!」

「ええ!?あ、ごめんなさい!私ったら!可愛いからてっきり・・・あ、いえ、すみませんでした!」

「ははは・・・いいんすよ・・・!」



真面目に、必死で謝るお姉さんに瑞希お兄ちゃんは大丈夫だと答える。

でも、付き合いが長いからわかる。

瑞希お兄ちゃんのその顔、大丈夫じゃない。



〔★修羅の顔だ★〕



これはまずいと思ったので、話題を変えた。



「お、お姉さんは、痴漢被害を警察に相談したんですよね!?」

「え?ええ・・・」



それで今度は、お姉さんの顔色が悪くなる。