すぐさま私は行動に出た。
ポケットから携帯を取り出す。
フェリチータが見える場所から、瑞希お兄ちゃんへと電話をかけた。
女装中の瑞希お兄ちゃんに声はかけられないので、電話での相談に変更。
いつもより出るのは遅かったけど、彼との電話はつながった。
〈も・・・もしもし、凛か?どうした?〉
焦るような口調と、押し殺すような笑い声が複数聞こえてきた。
事情はわかっていたので、多少のことはスルーした。
できるだけど、普通をよそおいながら言った。
「すみません、瑞希お兄ちゃん。お時間、よろしいですか?大事な話がありまして。」
〈大事な話?〉
「はい、実は―――――――」
愛する人に話した内容は・・・・
〈なに?じゃあ、MESSIAHがさばいてる薬を、持ってるのか?〉
「預かってると言って下さい。」
ちーちゃんに確認を取ったことも伝える。
電話越しだが、よくない空気は伝わってきた。
〈話はわかった。凛としては・・・薬をすすめてきた奴のことを、サツに知らせたいんだな?〉
「はい。」
ちーちゃんは知らん顔すればいいと言ったけど、とてもそんなことは出来ない。
「いかがいたしましょう?」
年上の瑞希お兄ちゃんなら、納得できる説明をしてくれると思って相談したのだが・・・・
〈お前らは動くな。〉
「え?」
それって・・・
「見捨てろというのですか?」
〈そうじゃない。薬は・・・幡随院が言った通りにしろ。〉
「薬を押し付けた子に返すだけ返して、後は知らないふりをするんですか?」
〈それしかないだろう?世話焼きすぎて、こっちが薬の売人扱いされたら困るあろう?それこそ、バラさん的には好都合になる。〉
「バラさんを喜ばせるような子余はしません!僕はただ、危険薬物だとわかってるなら、やめるように伝えるだけでも・・・」
〈・・・凛に頼んできた子も、そう言ってるのか?〉
「え、ええ。」
その子と言うか、私なんだけど―――――
「できようなら説得したいというか、話し合えば応じてくれて、自主もするんじゃないかと・・・」
〈薬物を甘く見るな。〉
私の意見に、冷たい声で瑞希お兄ちゃんが言う。