「実は・・・内密に調べてほしいと頼まれたんです。」
「誰に?」
「名前は出さない約束をしてるんだ。その子は・・・同じ塾に通う子から押し付けられて、困って、それで僕に相談してきたんです。」
「塾で?」
「うん・・・勉強に集中できるからと言われて、ね。その子・・・アレルギーがあるから、飲めないし、ただでそんなすごい薬をっていうのが引っ掛かったらしい。ましてや、塾みたいな順位を競う場所で、相手の有利になるものを渡してくるのも疑問だったらしい。」
「・・・なるほど。」
それでちーちゃんは納得したみたいだった。
だが私は心配だった。
「これ、麻薬なんですよね?」
「いや・・・違法ドラッグ系だと思う。」
「その子が持ってるのはまずいですよね・・・?」
こんなもので捕まったら冗談じゃない。
(だからと言って、坂口さんに返すのも・・・)
「うん。その子が持ってるのは良くないから、渡してきた人に返した方が良いよ。」
「え!?返すの??」
「いらないから返すのは当然でしょ?ついでに、相手の様子を探ってもらった方がいい。返した時の反応次第で、どれだけ依存しちゃってるかもわかるからね。」
「やめるように説得できないでしょうか?」
「無駄だよ~!きっと、1人紹介するごとに薬をもらえる取引をしてる可能性がある。聞かないよ。」
「でも!」
「ねえ、その子女の子でしょ?」
「え!?」
ちーちゃんの言葉にドキッとする。
「やっぱり~」
彼はニヤリと笑うと、私が持ってきたサプリメントを返しながら言った。
「リンリン、女の子には優しいから♪」
「こ、硬派ですから!」
「にゃははは!ウケるぅ~!」
「笑わないでくださいよ!というか・・・警察に言った方が良いんでしょうか?」
薬物を使用してるということは、そういうことじゃないのかしら・・・?
気は進まなかったけど、薬物がどれだけ危険かは学校で習って知っていた。
だから、ちーちゃんにも同意を得るために聞いたのだ。