「危ないですね・・・知らない人に物をもらったらだめだと習わなかったんですか?」
「最初は、気持ちが楽になるサプリとか言ってタダで薬を配るわけ!最近は、勉強が集中できるとか言って、ドラック中毒になった子の友達とか知り合いに薬を配らせて~中毒者を増やしてるみたい。」
「ひどい詐欺ですね!サプリなんて言われたら誰でも・・・」
そこまで言ってハッとする。
(勉強に集中できるサプリ?)
―私、これを飲み始めてから、成績が上がって・・・塾でも1位をキープできてるのよ。―
「まさか・・・」
「リンリン?」
ポケットに入れていたサプリメントを出す。
瑞希お兄ちゃんに見てもらおうと思って持ってきていた。
タイミングがあわなくて、見せずにいたのだが・・・
「ちーちゃん、これ!これ見て!」
「え?なにな・・・」
私が差し出した物を見て、ちーちゃんの表情が変わる。
「・・・ちょっとそこに止めようか。」
そう言った時には、車は路肩に止まっていた。
「リンリン、貸してくれる?」
「どうぞ。」
薬を車内の明かりに照らす。数秒、目を細めて見た後でつぶやく。
「黒木の扱ってる薬じゃん。」
「ええ!?本当ですか!?」
「ガチだよ。ほら、これ。」
ダッシュボードからちーちゃんが取り出したのは、まったく同じサプリメント・・・
「それ、どうしたんです?」
「ジオンが持ってきたんだ。加島がばらまいてるサンプルってことで。リンリンは・・・これ、どうしたの?」
「え?」
聞かれてしまったと思う。
(菅原凛としてもらったなんて言えない・・・!!)
「言えないの?」
言えない。
でも、黙っていれば、誤解されるかもしれない。
だから、慎重に言葉を選んでから言った。