「おい!見ろ!ヤバいよ!あの人ヤバい!」

「いってぇ~・・・何がだよ!?強いのはわかってんだよ!」

「違う!そうだけど、違う!腕見ろ!腕!腕章が!」

「はあ?腕章って・・・・うわああああああああ!?」

「りゅ、龍星軍!?龍星軍って、あの最強暴走族か!?」

「あの人、関係者!?兵隊なのか!?」

「馬鹿!!本物の4代目総長の凛道蓮さんだ!!」

「「「ええ――――――――――!?」」」



仲間の言葉に、大声を出す他の少年3人。

そこから4人は、180度態度を変えた。



「う、わわわ!ほ、本物なの!?本物の凛道蓮ってヤバいよ!ヤバい!仲間呼ばれるよ!」

「だ、誰か助けて―!極悪非道のヤンキーに襲われました!」

「暴力振るわれてます~!一方的に、真面目な僕らをなぶりました!」

「うわぁ~!乱暴された!ひ、被害届出すからな!?」



「なにそれぇー?君達の自己紹介・・・・!?」

「「「「ひいぃ!?」」」」



態度を変えたというか、勝手に立場を変えた。

加害者のくせに被害者ぶり始める。

その姿勢に怒りを込めて聞けば、地面でのたうち回っていた少年達の動きが止まる。



「ここは、人通りもなくて、誰も来ないんだよな?」

「「「「ひっ・・・」」」」

「そう言ったのは、君らだよね?」

「「「「ご、ごめんなさい!」」」」

「そりゃあ、どういう意味の謝罪だ?俺が極悪非道の凛道蓮ってことは事実だからな~?オメーらみたいな馬鹿ガキが嘘の被害届出しに行くのと、俺がテメーらの肉と骨をミンチにして下水に流すのと、どっちが早いか試してみるかっ・・・!?」

「や、やめて!ごめんなさい!ごめんなさい!冗談です!調子に乗りすぎました!」

「ごめんねさい!許してください!死にたくない!殺さないでっ!」

「被害届、俺は言ってないです!助けて、凛道蓮さん!ごめんなさい!」

「てめ、自分だけ助かる気かよ!?お、俺、誤解です!ちょっとパニくっただけで、凛道さんに逆らう気ありません!!被害届は嘘です!ごめんなさい!」

「――――――クソガキ共がっ!!謝る相手が違うが違うだろうっ!!?」

「「「「ひぃいいい!」」」」



自分が助かることしか考えず、露骨に意見を変える連中に呆れる。

もっときつい言い方をしてもよかったと思いながら、馬鹿な男子達から視線を離す。



「大丈夫ですか?」



ダンゴになったままの人へと声をかける。

被害者であるホームレスへと近づいた。