ど、どうしよう。 きっとこの人にとってはなんでもないことだろうから、スルーするべきなのか。 いや、でも、謝らないのって感じ悪くないかな。 勝手に触ってなにも言わないって、感じ悪くないか、私。 あたふたする私とは反対に、その人はほんの少し頭を下げて、反対方向へ歩き出してしまって。 ──あの人と触れた部分の熱は、それからずっと、消えることはなかった。