そう思い直して、私は、勇気を出した。


「と、戸生さん!」


はじめて名前を呼んだ瞬間は、やっぱり戸生さんが好きだと思った瞬間で。

振り返った戸生さんと目が合って、なんだかもう本当に、大好きだと思った。


「え、えっと、さっき階段でぶつかったとき、このメモ、落としてました」


そう言ってさしだしたメモは、私が握りしめてたせいで、くしゃっとなってて。