『私のこと気安く名前呼ばないでください。』

それだけ送り、私はいつのまにか着いていた家に入った。

制服を脱いですぐさまお風呂へ入る。
湯船に浸かりながら携帯をいじるのが結構な至福な時だ。

ピロン

またメッセージがきた。
あの人、仕事ちゃんとしてるわけ?!

『いいじゃん。俺は、その名前しか知らないし、亜子ちゃん、て呼びたい。今はね。そのうち、亜子って呼ぶよ』

…はぁ?
そのうち呼び捨てにするとか、何この人。
仲良くなる気満々だったりするのかな。
犯罪だよ?!

『捕まりたくなかったらそこらへんにしといたほうがいいですよ』

『何を期待してるのかな?』

はっ…!
そうか、手を出さない限り犯罪にはならないのか…?
恥ずかしい。全然期待なんてしてないし!

私はのぼせ気味の身体を湯船から出してカラダを洗い、早々とお風呂から出た。

そして送り返す。

『別に期待なんてしてません!ただ、これ以上関わってほしくないんです』

これだけ送れば充分でしょう。
でも彼は懲りないみたい。

『嫌だね。気になる女が目の前にいるのに、なんで我慢しなくちゃなんねぇんだよ。』

…え。
なに、気になる女って。
誰のことよ。私?

朝ぶつかっただけの女の子が気になるって、け、怪我とかそういうこと?でもまた会って安否は確認してるわけだし…。