ごふっ

「あっ…あぶないでしょぉ?!」

すりすりとしてくる麗奈に怒っても特に気にしていない様子。
私は椅子から立ってもう一杯飲もうとバリスタの前へ。
もう一つマグカップを棚から出して麗奈の分も用意する。
まだ時間があるため、ゆっくりと話をしても大丈夫だろう。

「麗奈はミルクと砂糖入れる?」

「うんー。ミルクとお砂糖2つお願いしてもいい?」

希望通りのものを入れて私は麗奈のところへ持って行った。
ありがと、と言って私からマグカップを受け取る。

「で?こないだのデートはどうだったのよ?」

ごふっ

父と私が同じタイミングでコーヒーを吹き出す。

「で、デートだと?そんなことをする相手がいるなんて父さんは知らんぞ?!」

父は私には甘い。
まあ、一人っ子だからね。娘可愛さなのだろうけど…。

麗奈、知ってて言ったよね、今。

「デートだなんて、そんなんじゃないよ。ちょっと水族館行ってきただけじゃん。」

父の言葉をシカトして麗奈に返事をする。


「いやいや、普通さ、お互いになんとも思ってないような男女が水族館なんて行く?」