入学式に遅刻しそうになったがギリギリセーフで間に合った。
学校の前に張り出されているクラス表の前には新入生がまだたくさんいた。
その中に私の友達が。
「亜子!こっちこっち!同じクラスだよ」
「えっ。ほんとう?!」
私はさっきまでの出来事をすっかり忘れて嬉しくなってしまった。
でもすぐに思い出さざるを得なかった。
「そういえば遅かったね?なんかあった?」
うっ。
べ、別に何か悪いことがあったわけでもなんでもないけど…
思い出すと恥ずかしい。
だって未だに、あの人の声が、耳に残ってる。
顔が一気に赤くなった気がした。
「べべべべべつに、なにもないよ?!そんなことより、同じクラスで良かったね?」
私ははぐらかすように話を戻した。
でも彼女、葉月 麗奈(ハヅキ レイナ)には通用しないようだ。
「白状しないとくすぐるわよー」
にやっと笑ったと同時に私の脇腹をくすぐり始めた。
くすぐりには弱い私。すぐに吹き出してしまう。
「やっ、やーっ!わかった、わかったからぁぁ!」