ちょっと凹んだ。
だって、せっかくオシャレしたのに、こんなにびちょびちょに濡れるなんて思ってもなかったから。
でも、きっと夏目さんだってこんな風になるなんて想定してなかったはず。
だからここは、笑わなきゃ。
「大丈夫ですよ。歩けば、水ですし、乾きます!さあ、続き見ましょう。確か大っきい円柱の水槽、まだ見てなかったですよね。あそこでランチ食べれるみたいですよ」
私は出来るだけ笑顔が崩れないうちに立ち上がって先に歩いた。
多分、夏目さん、気まずそうな顔してるはずだから、顔が見れない。
…大丈夫。
大きな水槽の魚を見る前に、やっぱりちょっと気になるのでトイレは行った。
そこで一度深呼吸。
鏡を見ると、少しだけメイクも崩れていた。
麗奈にメイク道具は持って行っとけ、と言われてカバンの中に入れておいて良かった。
私は携帯を取り出して麗奈にメッセージを送る。
『麗奈のおかげで助かったよ。メイク道具必要だね』
すぐに返信が返ってくる。
『なになに、メイク崩れるくらいの何かがあったのっ??』
んー、麗奈の考えてるようなラブラブな感じはないよね、うん。
私はさっきのイルカショーで水を被ったことを伝えて、トイレを出た。
あんまり遅いと夏目さん待ってるしね。