「だだだだだだだいじょうぶれす…!」
噛んだ。
恥ずかしくなって余計にその人の顔が見れなくなったが、その人はぷっ、と吹き出して笑った。
そして私を引き寄せると耳元でこう言った。
「耳まで真っ赤…。」
私はすぐさま離れた。
その時にやっと自分の視界に入ったその人の顔。
黒くて短い髪、黒のスーツに身を包んでいるその姿は自分とは別世界だと思うほどの大人な雰囲気のある人だった。
ま、まあ大人なんだろうけど!!
「た、助けてくださってありがとうございました!」
私はそれだけ言って逃げるように学校へ向かった。
それが私と、夏目 悠斗(ナツメ ユウト)の出会いだった。