生理が遅れている。

指折り数えると、7日め。
ちょうど一週間。

エリカがネイル用品が欲しいというので、学校の帰りにドラッグストアに寄った。
ネイル用品のコーナーにはマニキュアや爪ヤスリ、爪磨き、ネイルポリッシュの他にも色々置いてある。
でも、ずらりと並んだ道具が何に使われるものか、私にはわからないものが多い。
木のスティックに、ニッパーのようなもの。
前に一度エリカが全部説明してくれたけれど、きれいさっぱり忘れてしまった。
エリカはマニキュアの棚の前でじっと動かない。
どのマニキュアを買うか真剣に悩んでいる。

「ちょっと他見てくるねー」

きっとちゃんと聞いていないだろうけど、念のため断って店内をうろつくことにした。
エリカは話半分でしか聞こえていないだろうに、返事の代わりに片手を上げて答えた。

ぐるりと店内を見回る。
特に欲しいものがあるわけじゃない。
私が持っているものは毛抜きとアイブロウくらいで、いつもほぼスッピン。
みどりさんだって、ファンデーションは塗らなくていいと言っていた。
少なくとも10代のうちは、と。

”みどりさん”という単語が突然、とてもなつかしく感じた。
ちょっと前までよく顔を合わせていたのに。
最後に会ったのはいつだったろう。…そうだ、シチューを作った日だ。

あの日、

あの日が最後だった。
翔太サンに会ったのも。