『テキトーに遊びに来るって行っていたよ』
とケン兄が言った翌日、私は「それ」を音楽室で発見した。
音楽室でケン兄のヘッドフォンをしたまま床の上で大の字で寝転がっている「それ」。
玄関にすっかり見慣れたスカイブルーのスニーカーがあるとは思っていた。
(この人、人んちでくつろぎ過ぎなんじゃないの)
遠慮という言葉を知っているんだろうか。
―――ごん。
私はとりあえず、それを蹴ってみた。
翔太サンは目を見開く。
「ひどいよ、ユカちゃん」
と哀れな声を出す。
「人の家でくつろぎ過ぎなのもどうかと思いますよ」
翔太サンは目を逸らす。
「…ユカちゃん、パンツ見えてる」
ごん。
「痛いから!」
思わず手加減なしで蹴ってしまった。
観念して起き上がった翔太サンを思い切り睨む。
「お久しぶりです。ユカちゃん」
改まって翔太サンは言う。
「久しぶりですか?」
「うん。1ヶ月空けば久しぶりデショ?」
当然のように翔太サンは言う。
当然なのか?
夏休み中会わなければあっという間に1ヶ月なんて過ぎるのに。
「はあ」
そうですね、と心のない返事をする。
私の返事を特に気にとめず、
「バンドが忙しくってね」
とこたえた。
ああ、バンド。
とケン兄が言った翌日、私は「それ」を音楽室で発見した。
音楽室でケン兄のヘッドフォンをしたまま床の上で大の字で寝転がっている「それ」。
玄関にすっかり見慣れたスカイブルーのスニーカーがあるとは思っていた。
(この人、人んちでくつろぎ過ぎなんじゃないの)
遠慮という言葉を知っているんだろうか。
―――ごん。
私はとりあえず、それを蹴ってみた。
翔太サンは目を見開く。
「ひどいよ、ユカちゃん」
と哀れな声を出す。
「人の家でくつろぎ過ぎなのもどうかと思いますよ」
翔太サンは目を逸らす。
「…ユカちゃん、パンツ見えてる」
ごん。
「痛いから!」
思わず手加減なしで蹴ってしまった。
観念して起き上がった翔太サンを思い切り睨む。
「お久しぶりです。ユカちゃん」
改まって翔太サンは言う。
「久しぶりですか?」
「うん。1ヶ月空けば久しぶりデショ?」
当然のように翔太サンは言う。
当然なのか?
夏休み中会わなければあっという間に1ヶ月なんて過ぎるのに。
「はあ」
そうですね、と心のない返事をする。
私の返事を特に気にとめず、
「バンドが忙しくってね」
とこたえた。
ああ、バンド。