『たっだいまー!』

「また屋上で寝てたんですか?」

『うん!あー、よく寝たぁ!』

「...琥珀。海斗のこと、どう思う?」

『え?どうして?』

燎、海斗の闇について、触れようとしてる?

海斗が戻ってきたら、大変だね?

闇っていうのは、いちばん触れられたくないものなのに

でも偽りの"僕"だから、そんなこと言ってあげない

『うーん、ちょーっと訳ありかなぁ?みたいな?』

「琥珀も気付いていたのか」

そこまで鈍くないからね

「どんな闇があるんでしょうね...?」

『うーん、わかんない』

気付いてないんだ、海斗がこっちに歩いて来ることに

生徒会室からいちばん近い廊下に居たから、すぐ着いちゃうよ?

海斗の闇について話してた、なんて言えないよね?

『ねぇ、それより二人ともそろそろ仕事した方がいいんじゃない?』

僕はわざとらしく時計を見ながら言った

「...そうですね、そろそろ始めないと終わりませんし」

「だな。俺は資料取ってくる」

そう言って燎は生徒会室を出た

それとほぼ同時に、海斗が帰ってくる

「ただいまー!お、琥珀今日の放送も最高だったぜ!」

瞳に闇を滲ませている海斗が無理矢理笑う

僕は気付かないふりをして、海斗と話す

『おっかえりー!ありがとー!みんな今日も頑張れるかな!?』

「おう!生徒会も他の奴らも元気いっぱいだ!」

嘘つき。みんな君に闇があるって分かってるんだよ?

『良かったー!そう言われると僕も元気になるー!』

だろ!?と言う海斗にうんうんと頷く

「...そろそろ仕事をした方がいいと言ったのは誰でしたっけ...?」

そんな声が聞こえて後ろを振り向くと閻魔様が降臨していた

「うわぁ!?爽すまん!今仕事すっから許してくれよー!」

『そ、爽!ごめん今すぐやるからあれは勘弁してー!』

あれって何って?...察して。とにかく怖いから